外壁凍害とは
外壁凍害とは、外壁に水分が浸透し、それが凍結することで生じる損傷のことです。凍結が進むと、水分が膨張し、外壁の表面にひび割れや剥がれを引き起こすことがあります。下記では、外壁凍害の種類や原因、発生する場所について解説します。
外壁凍害の種類
外壁凍害の症状は、「ひび割れ」「ポップアウト現象」「スケーリング」という3つが主なものです。
【ひび割れ】
外壁表面がひび割れる現象です。外壁に水分が染み込み、気温が低下するとその水分が凍結します。水分が凍ると膨張するため、外壁の表面や内部に圧力がかかり、ひび割れが生じます。
【ポップアウト現象】
外壁の表面部分が飛び出すように剥がれる現象です。外壁に含まれている不純物(砂粒や小石)が水分を吸収して膨張することで生じます。水分が凍結して膨張した際に、これらの不純物が外壁から押し出され、表面がボコボコと膨らんでしまいます。
【スケーリング】
外壁表面のセメントペーストが剥離する現象です。ポップアウト現象によって剥がれた外壁から水が侵入することで発生する場合があります。
外壁凍害が発生する原因
外壁凍害が発生する原因は、外壁に水分が浸透し、それが凍結と解凍を繰り返すことで内部に圧力が生じ、素材が劣化することです。昼間に溶けた水分が夜間に凍るという寒暖差の大きな地域(寒冷地)で発生しやすい傾向にあります。
また、経年劣化で外壁の防水性能が低下している場合も凍害が発生する原因のひとつです。例えば、塗装や防水加工が経年劣化で剥がれたり、シーリング材が劣化して隙間ができたりすると、水分が侵入しやすくなります。
さらに、「直貼り工法」と呼ばれる、サイディングの裏に通気がないタイプの施工方法の場合、湿気が溜まりやすいことから凍害が発生する確率が高くなります。
外壁凍害が発生しやすい場所
下記のように、「水分が溜まりやすい」または「乾燥しにくい」といった場所は、外壁凍害が発生しやすい傾向にあります。
外壁凍害が発生しやすい場所 | 原因 |
建物の北側や日陰になる場所 | 直射日光が当たりにくく、湿気が蒸発しにくい |
窓枠やサッシ周辺、外壁と屋根の接合部、目地などの隙間 | 水分が入り込みやすい |
風呂場やキッチンなどの水回りの外壁、バルコニーにつながる開口部 | 湿気が溜まりやすい |
外壁凍害が起こったときの対処法
外壁凍害が起こったときは、その程度に応じて自分で補修するか、専門業者に依頼するかを見極める必要があります。下記では、その判断基準について解説します。
DIYで補修する
米粒程度の塗料の剥がれや小規模な損傷であれば、自分で塗装して外観を整えることが可能です。ただし、補修を始める前に、凍害部分が表面的なものなのか、それとも内部にも広がっているのかを見極めることが重要です。
表面的な剥がれであればDIYで対応できますが、内部まで損傷が進んでいる場合は専門業者へ相談しましょう。補修作業の基本的な流れは下記の通りです。
1.塗装前に外壁の汚れをしっかり落とす
2.下塗りを2回実施し、凍害発生部をしっかりとコーティングする
3.下塗りが乾燥した後、仕上げとして上塗りをする
専門業者に依頼する
豆粒ほどのサイズの損傷が見られる状態は、中等症の凍害といえます。塗装のみで補修可能なラインではありますが、数年以内に凍害が再発するリスクが高いことから、専門業者に依頼して外壁材を張ることを検討したほうが良いでしょう。
豆粒より大きな損傷が点在する状態は、塗装では補修不可能な重症の凍害であり、外壁材そのものを交換する以外に方法がありません。
こうした凍害の状態を正確に判断するのは一般の方には難しく、表面的に軽症に思える場合でも、内部で深刻な損傷が起こっている可能性があります。そのため、軽症の場合でも念のため専門家にチェックしてもらうことを推奨します。
【補修方法別】外壁凍害の費用相場
外壁凍害の補修に、どのくらいの費用がかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。下記では、補修方法別の費用相場を紹介します。
パテ補修|1万円~/箇所
小規模なひび割れや損傷に対してはパテ補修で応急処置が可能です。パテ補修では、ひび割れた部分に補修材を充填し、水の侵入を防ぐことで凍害の進行を抑えます。費用は1か所あたり1万円程度が相場です。ただし、補修範囲の大きさや地域、業者の人件費などによって金額が変動する可能性があります。
また、パテ補修は応急処置に過ぎない点を理解しておくことが重要です。パテそのものは数年で劣化しやすく、時間の経過とともに剥がれ、再び凍害が起こる可能性があります。そのため、パテ補修と塗装をセットで施すのが有効です。
サイディング張り替え|10万円前後~/枚
「外壁の割れが大きい」「複数の場所に損傷がある」「直貼り工法による湿気が原因で凍害が発生している」といった場合には、サイディングの張り替え工事が必要です。現在の傷んだサイディングを剥がし、新しいものに交換します。
費用はサイディング1枚あたり約10万円からが目安ですが、選ぶサイディングのグレードやサイズによって金額は大きく変動します。
また、現在の外壁が「直貼り工法」で施工されており、通気工法に作り替える場合は注意が必要です。通気工法では、通気層を設けるために外壁が数センチ外に張り出す構造となり、部分的な張り替えでは対応できず、外壁の1面もしくは建物全体を張り替える必要が生じます。
全面的な張り替え工事は、大幅に費用が増加するため、事前に予算をしっかりと把握して専門業者と相談することが重要です。
外壁凍害は火災保険が適用されるケースもある
火災保険は、火災や落雷、雪災などの自然災害による損害をカバーしており、場合によっては凍害が適用される可能性があります。特に補償範囲の広い火災総合保険の場合は、洪水や床上浸水、水漏れなどの広範な自然災害にも対応しているケースが多く、外壁凍害が補償対象に含まれる可能性が高くなります。
少しでも補修費用の負担を軽減するために、自身が加入している火災保険の契約内容を確認してみてください。
外壁凍害を起こさないための予防策
建物の寿命を延ばしたり、修繕費用を抑えたりするためには、凍害を予防することが大切です。下記では、外壁凍害を起こさないための予防策を紹介します。
定期的に外壁をチェックする
外壁凍害を防ぐポイントは早期発見と早期対応です。凍害は進行が遅い場合もありますが、放置すればするほど被害が広がり、補修費用も増加します。定期的なチェックによって、小さなひび割れや剥離、塗膜の劣化を早期に発見し、迅速な対応が可能です。
こまめにチェックしたほうが良い場所には、窓やサッシのまわり、サイディングの目地部分があげられます。また、セルフチェックだけでなく、定期的に専門業者に確認してもらうのもおすすめです。
適切なタイミングで外壁塗装する
外壁塗装は単なる外観の改善だけでなく、防水効果によってサイディングの劣化を防ぐ役割も果たします。つまり、塗装の防水効果が切れると、水分が外壁に侵入し、凍害を引き起こすリスクが高まります。
塗装の耐用年数は5〜10年程度とされており、塗り替えの目安としては、北側の壁は約5年、南側の壁は7年程度です。塗装の防水効果が切れるタイミングで、再塗装しましょう。
「外壁通気工法」でリフォームする
建物の外壁が直貼り工法である場合、通気工法に全面リフォームするのが効果的です。直貼り工法では、外壁と建物の間に隙間がないことから湿気がこもりやすく、凍害が発生するリスクが高まります。一方、外壁通気工法は、外壁と建物の躯体の間に通気層を設け、湿気を外に逃すことで、壁内に水分や湿気がたまるのを防ぎます。
大規模な工事で費用や工期はかかりますが、長期的にみると凍害やその他の湿気に関連した問題を防止できるため、前向きに検討してみてください。
まとめ
外壁凍害は、外壁に浸透した水分が凍結と融解を繰り返すことで生じる損傷のことです。外壁凍害を防ぐためには、防水塗装や外壁の定期的な点検が必要であり、特に塗装の劣化やシーリングのひび割れに注意することが大切です。
また、外壁の耐久性や見た目を保つためには、定期的な外壁洗浄も重要です。「外壁洗浄ネオピカ」では、専用の器具と洗浄剤を使用し、汚れの場所に合わせて効率良く洗浄します。さらに、最短当日にお見積りに伺い、迅速な対応が可能です。外壁の美しさと耐久性を保つために、ぜひご利用ください。